家造りコンサルタント Toolbox

建築設計とファイナンシャルプラン、住宅ローンアドバイザー、保険でトータルにライフプランコンサルタントを行うToolbox                http://www.lifedesign-toolbox.com/

アベノミクスのシナリオ

日銀は銀行から国債を買って銀行にマネーを流入させますので、銀行にはお金がだぶつく状況になり、お金を市場に回す必要が出てきます。なぜならお金を運用しなければ利益が出ないからです。
 
利益が出なければ預金者に対し利子が払えません。また企業は内部留保を何十兆円を銀行に預けていますので、そういった企業にも利子を払わないといけないし、生保など客から預かったお金の一部を銀行に預けたりしてますので、銀行自身が経営を進めるためにも費用はかかりますので。
 
なので再度新規国債を買ったり(少なくても利子がつきます)、市場が借り易くする為に金利を下げます。銀行は人にお金を貸すだけでなく、投資も行っています。銀行の大量のお金が株式市場にも流れ込みますから、株価は上がっていく事になります。
 
企業はお金が借り易くなれば、土地を買って設備投資をする為にお金を借りたり、新規事業に乗り出したり。
さらに株価が上がれば、資金調達コストも下がり、ますますお金を融通しやすくなり、経済活動が活発になっていきます。ここで利益があがれば、やがては社員の給与にも反映されるはずです。
 
また、富裕層は株などをもって資産運用していますので、株が上がれば資金的な余裕が生まれ、土地を買ったり、金、宝飾品、車、高級マンションを買ったり、投資用のマンションを買ったり。。。
 
企業も富裕層も土地を買いマンションを買い。。。やがて、そのお金はゼネコンに周り、下請けの企業に回り、社員や職人さんにもやがては行き渡っていくはずです。溢れ出たお金が個人の懐に入っていくようになれば(所得がふえれば)、おいしい物も食べるでしょうし、服も、靴も買います。家を買おうと思う人も増えます。
 
こうしてお金が循環するようになれば、景気が良くなり、さらに物価が上がります。
アベノミクスで狙っているシナリオはこういったことなのですが。。。
 
しかし、物価上昇率が2%ならば想定範囲内ということらしいですが、そうなった時、今度は物価が上がりすぎないように金利を上げて、日銀が市場から貨幣を回収しようとします。金利を上げて、お金を銀行に預けるようにしむけます。しかし、インフレが進行していく中で、預金金利をどの位あげればインフレが止まるのか、インフレを制御する事はできるのか。。。そんな疑問が生まれてきます。
 
万が一、インフレをコントロールできなければ。。。
仮に3%になった場合
 
長期金利が1%を切っている現在、毎年の国家予算のうち10兆円ほどが国債の利払いの為に使われています。物価上昇が制御できず3%を越えてきた場合、国の毎年の税収が40兆円しかないのに、国債の利払いだけで税収を超える事になってしまいます。もちろん、インフレが進んでいく状況でGDPも上昇し税収も上昇してしていると思いますが、その臨界点がどこでくるのか?
 
日銀の黒田氏が、物価はコントロール可能として、アベノミクスを後押ししていますので、黒田氏への期待は大きいものがあります。
 
景気の上昇、国債発行額の減少(税収の上昇)し、国の財政再建の目途がたてば、アベノミクスは大成功と言えます。しかし、失敗すれば(臨界点を越えてしまえば)国債の暴落、円の暴落、金利の急上昇が待っています。国の破綻です。行政サービスは停止、予算の執行停止、大量の公務員の解雇、こういう状況では国から仕事を受注している企業も破綻、資金の借入を変動金利で借りている方も破産する事になることに。年金が滞り健康保険が使えなければ、老人はどうなるのでしょうか?
 
アベノミクスは「3本の矢」
1.「大胆な金融緩和」
2.「機動的な財政出動」
3.「民間投資を喚起する成長戦略
のうち2本目の矢である2.「機動的な財政出動」は国土強靭化計画が騒がれていますが、同時に利払い費の増加を抑制するために、予算の削減に向かうはずです。そのための最初のターゲットは「財政・社会保障の抜本改革」のはずです。
毎年1兆円ずつ増加していく健康保険の予算、現状維持すら難しい社会保障制度これらの抜本的な改革に向けて動き出すはずです。
 
納税者となるべき人口が減少していくなかで、反対に増加していく社会保障費を維持していくのか、いや削減していくのか、それが大きな課題となっています。ベビーブーマー世代の多くがこの世から去る30年後まで、この問題を抱えていく事になります。もちろん、その方達は日本の繁栄を支え懸命に働き納税してきた方々ですから、その力を使い切ってしまった政治の責任は非常に大きいといえます。
しかし、この問題を乗り越えるためには、国民のかなりの覚悟が必要です。
財政赤字の縮減にあたっては社会保障費の抑制や増税が避けて通れません。いかに財政赤字の縮減を進めるのか、そしてその政策の立案実行が求められています。総論賛成各論反対はもう許されないときにきています。
 
しかし、そのダメージを緩和するよう適切な金融政策や成長戦略で側面支援していくことが求められています。日本が今後、成長率10%以上でGDPが上がっていくのであれば、これらの問題は消えていくのでしょうが、それはほぼ不可能なのであれば、できるだけの成長戦略社会保障費の抑制や増税を合わせて、どこかでバランスをとりながら、国家運営をしていく事になります。
 
麻生財務大臣はG20で次のように述べています。
黒田日銀の異次元緩和で円が下落し、株は上昇したと指摘。黒田日銀総裁のアプローチを米軍の対イラク戦争の作戦名を用いて「衝撃と畏怖(shock and awe)」と表現し、「人々の認識や見通し、考え方を変えるのがいかに大切かを物語っている」と述べた。
ただし、市場が日本の財政への信頼を失い、望ましくない債券利回りの急上昇を招く事態を防ぐためには、日銀の大規模な国債買い入れに政府の信頼できる財政改革計画が伴わなければならないと指摘。
「政府は真剣に財政に配慮しなければならない」述べ、財政健全化に向けた改革は将来の任務でなく、今着手しなければならない明確な目の前にある任務だとの認識を示した。
 
前に進む勇気と力、そして重荷に耐える体力と心が、すべての日本人に求められているのです。