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これからの人生設計で考えておかなければいけないこと

最近よくマスコミに話の出てくる年金支給開始を68歳に引き上げる話、ご覧になっている方も多いと思います。火の無い所に煙は立たないので、実際に厚生労働省の内部では検討が始まっている。。。というかほぼ決まっているのかもしれません。


たぶん高齢者からは大きな抵抗が予想されますが、公的年金の財政状況を考えた場合、支給開始年齢の引き上げはほぼ不可避なのではないでしょうか?これに加えてマクロ経済スライド制の発動による年金支給額の減額も予想されています。

最近よく言われていますが、これからは年金に頼るのではなく、生涯労働が前提の人生設計が必要になってくるはずです。

 

財務大臣の諮問機関である財政制度審議会では、年金や医療の持続可能性について財政面から検討を行い、4月11日に行われた分科会では支給開始年齢の引き上げが議論の対象となっていました。

 

2013年に開催された政府の社会保障制度改革国民会議でも68歳引き上げが議論されており、政府関係者の間では事実上、既定路線となっているはずです。

 

支給開始年齢を引き上げるのは、年金財政が厳しい状況に置かれているからですが、政府は支給開始年齢を引上げても平均余命までに受け取る年金の総額は変わらないとしています。

受取り開始時期が68歳になっても、毎月の年金が増えるのであれば、いいと考える人もいるかもしれませんが、現実はそううまくいかない可能性のほうが高と思います。

 

現在、日本の公的年金は、年金受給者に対して毎年50兆円程度の年金を支払っています。だが現役世代から徴収できている保険料はわずか33兆円。政府の一般会計からの負担(つまり税金による補填)が12兆円ありますが、それでもまだ5兆円ほど足りない。不足部分は積立金の運用益などでカバーする図式となっているます。

 

安倍政権は安全運用を基本としていた公的年金の運用方針を180度転換し、株式などのリスク資産に振り向けました。その理由は積立金を国債だけで運用していては、年金財政の赤字を穴埋めできないからです。

 

今後は現役世代の人口が減少することから、保険料収入はさらに減少する可能性が高いはず。

(今後20年間で現役世代の人口は17%減少する一方、高齢者は8%ほど増加する見込み)

 

日本の年金は自分が積み立てた保険料を後で受け取る方式ではなく、現役世代が支払う保険料で高齢者を支える「賦課方式」であり、現役世代から徴収する保険料が下がれば、高齢者への給付も減額せざるを得ないのは誰が考えてもわかる話です。

 

現役世代の負担をこれ以上、増やすことは不可能。

 

となれば、このマクロ経済スライド制は、まだ1回しか発動されておらず、不景気が続き、生活が苦しい人が増えたことから、政府が発動を遅らせてきたのです。しかし、いよいよ年金財政が厳しくなってきたことで、近い将来、マクロ経済スライド制が再発動され、年金給付額が減額されるのはほぼ必至の状況となっているはずです。

 

もしマクロ経済スライド制が発動されれば、生涯に受け取ることができる年金総額そのものが減ってしまいます。仮に68歳から受け取ることで月々の受取金額を増やす措置が図られたとしても、総額ベースではやはり減額となってしまうことは十分にありえると思います。

年金受給者にとっては厳しい話ですが、現役世代の負担をこれ以上増やすことは現実的に難しく、この措置はやむを得ないものだと考えられますが、受け入れられる人とそうでない人に分かれるでしょう。

そうでない人たちのセイフティネットも必要になるでしょう。

 

こういった年金財政の現状について国民に正直に丁寧に説明すべきでしょう。